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ドッグセラピー@神戸市・特別養護老人ホーム「万寿の家」
人を優しい気持ちにさせたり、元気にしたり、「犬独特のパワー」で人間を癒すドッグセラピー。日本レスキュー協会では、保健所に引き渡された犬や、飼い主の見つからない犬たちを、犬の適性にあわせてセラピードッグとして訓練し、多くの福祉施設などを訪問しています。
セラピードッグとどんなレクリエーションをするのでしょうか? 利用者さんたちだけでなく、介護スタッフも癒されているという、ドッグセラピーをレポートしました。
セラピードッグは、触れ合いや交流を通じて、身体機能の低下した高齢者や、病気やケガまたは精神的な痛手を受けた人の不安を減らし、気力を高め心と体を癒す働きをする高度な訓練を受けた犬たちです。
ドッグトレーナー自身が一頭の犬を育てながら、基本的なしつけやセラピードッグとしての訓練を全て行います。性格もクセもよく知っているので、ドッグトレーナーは訪問先の傾向と犬の適性を考慮しています。
今回レポートしたルルちゃんやアリーちゃんは2頭とも女の子で、のんびりと大人しい性格。この子たちも、手に歯があたらないように優しくおやつをもらう練習など、人とふれあう時にお互いが穏やかでいられるような訓練を、しっかり受けています。
NPO法人日本レスキュー協会 理事・事務局次長 セラピードッグインストラクター。仕事のストレスから病気を患うが、療養中に愛犬が心の支えとなり、ジャパンドッグアカデミーに入学しドッグセラピストを目指す。2003年日本レスキュー協会のスタッフとなり、日本レスキュー協会認定・ドッグセラピーエキスパート1を取得。
同年に開設したセラピードッグメディカルセンターでは、セラピードッグ育成の統括責任者として、捨てられた犬たちをセラピードッグに訓練し、福祉施設に譲渡する活動を行ってきた。2007年には理事及び事務局次長に就任。現在は、協会の運営と共に福祉施設・病院などを、セラピードッグと訪問している。
「万寿の家」では、ドッグセラピーが毎月行われています。楽しみにされている方もたくさんおられます。
今日は約30人の利用者さんが集まって来られました。(嬉しいことに、毎月参加者は増えていってるようです)体調を見て途中から抜けられたり参加されたりする人も。男性と女性の数が半々くらいの参加率でした。
要介護レベルが高く、手足の不自由な方が多いので、おやつをあげたり、道具を手に持ったりする軽いレクリエーションがメインです。参加者全員にワンちゃんに触れてもらうことを最優先にしています。
3月生まれの方に、ワンちゃんがお花をプレゼントします。
花かごをくわえた愛らしい仕草が笑顔をさそいます。
お誕生月の方の側に来て、ひざの上で、小さなブーケを「どうぞ」と渡します。
なるべく手の近くまでいくように、倉田さんがワンちゃんをうまく支えて、受け取ってもらいました。
参加している利用者さん全員に触れてもらうため、2頭のワンちゃんが皆さんひとりひとりにご挨拶してまわります。ふわふわの毛並みにふれて温もりを感じるだけでなく、ワンちゃんがひざに顔をのせたり、だっこしてもらったり、手をなめたり、甘え上手なので、利用者さんも笑顔になります。
じつはルルちゃんが当日、8歳のお誕生日でした。そこで皆さんから、おやつをあげてもらうことに。
利用者さんは動きにくい手の指を、トレーナーさんから渡されたおやつを手に取るためにゆっくりと開きます。
開いた手からおやつを優しく受け取ると、ルルちゃんがぺろぺろとなめてくれました。
アリーちゃんが「この人!」と合図をした参加者に、ボールを渡します。利用者さんの投げたボールを、アリーちゃんが拾ってきて、投げて渡してくれます。
利用者さんにフープ(輪)をタテに持ってもらい、ルルちゃん、アリーちゃんが輪をくぐります。
3人の利用者さんに持ってもらった輪を連続でくぐり、背の高い車イスの足もとも、上手に避けてジャンプできました。
白くてふかふかの毛並みのたきおくんは、ドッグトレーナーの倉田さんが育てたセラピードッグ。6年前から万寿の家の皆さんと、いっしょに暮らしています。
身体を揺らしてゆったりと歩く姿がなんとも愛嬌があり、すっかり皆のアイドルです。
じつはたきおくんは、もともと資材置き場に捨てられていた経験から、人に対してとても臆病でした。撫でられるときも怯えてじっとしていたので、それがかえって介護施設の利用者さんたちにはとても優しい犬と受け取られて、万寿の家の人々にかわいがられ、たきおくんも癒されていきました。今はお客さんにすり寄ってご挨拶もできるし、すっかり人に懐いています。
他の施設でもこのようなかたちで、捨てられたり殺処分になりかけていた動物たちが、セラピードッグとして徐々に活躍しつつあります。
人に裏切られても、人に優しくできる。犬の優しさ、懐の深さには驚くべきものがあるのです。
レポートしている私たちも、すり寄ってきてくれるワンちゃんのあたたかさ、優しい目にすっかりまいってしまいました。確かに心が穏やかになることを実感!
万寿の家の施設スタッフさんたちも、たきおくんがいてくれてよかった、ドッグセラピーをしてよかったと感じておられるそうです。また、利用者さんのご家族のなかには、お孫さんがたきおくんに会いたいと言って、お見舞いに来ることが増えたという話も。外部とのコミュニケーションにも役立ってくれているんです。
NPO法人日本レスキュー協会では、ドッグセラピーが単に心のケアを目的とした触れあいだけに留まらず、介護ケアプラン・医療プログラムへ導入されることを目指しています。
「ヨーロッパでは、犬を飼っている人のほうが認知症になりにくいというデータもあります。今は公的な助成金もなく、募金などを元にして活動することがほとんですが、社会福祉の法のなかで、ドッグセラピーの意義がもっと認められればと思います。」(倉田さん)
倉田さんたちは、行く先々の施設の方に協力していただきながら、その活躍を多くの人々に知ってもらい、セラピードッグたちの活躍の場を広げています。
社会福祉法人 兵庫県社会福祉事業団
特別養護老人ホーム 万寿の家
〒651−2181 兵庫県神戸市西区曙町1070
TEL(078)927-2727 FAX(078)925-9276
NPO法人 日本レスキュー協会
〒664-0832 兵庫県伊丹市下河原2-2-13
TEL(072)770-4900 FAX(072)770-4950